会長挨拶

第4回日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会を平成30年12月14日(金)~15日(土)の2日間にわたり、東京都品川区のスクエア荏原で開催させていただきます。

次世代を育む医療を担当する産婦人科において、遺伝診療は欠くべからざる重要な分野になっています。産婦人科診療の4本柱は、周産期、生殖、腫瘍、そして女性ヘルスケアですが、いずれの領域においても遺伝医療の重要性が増し、周産期においては母体血を用いた染色体検査(NIPT)の導入、生殖では生殖補助医療の応用としての着床前遺伝子診断、腫瘍では、遺伝性乳がん卵巣がん症候群への対応や抗腫瘍薬の選択におけるプレシジョン・メディシンの導入など、多くの分野で新たな展開が急速にすすんでいます。

この遺伝診療においては、十分な知識をもつものが、時間をかけて遺伝カウンセリングを行い、その医療の内容について十分な理解を得た上で、患者が自律的に意思決定を行うことが重要であるといわれており、その遺伝的な素養を身に付けることはこれからの産婦人科医にとって必須であると思われます。

そこで、第4回の本学会学術講演会では「産婦人科診療における遺伝リテラシーの向上のために」とのテーマを掲げ、臨床遺伝学における基礎的な知識を整理するためのプログラムを充実させました。さらに、今年度は周産期と腫瘍の領域で「講習受講証」が交付される講習会を開催し、遺伝の基礎知識が学べるようにしました。さらに、その知識を実臨床でどのように使うかを学ぶためのロールプレイ講習会も開催します。

産婦人科臨床医にとって臨床遺伝的な知識は今後、ますます重要性を増してくると思われます。本学術講演会は臨床遺伝を基礎から学びたいと考える多くの皆様にご参加いただけるプログラムとなっています。師走のお忙しい時期ではありますが、多くの皆様にご参加いただき、活発にご議論いただきまたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成30年5月21日

第4回日本産科婦人科遺伝診療学会
会長 関沢明彦    
(昭和大学医学部産婦人科学講座教授)